2006年01月25日

(01話)第1章・その1

 私は500万円を机の上に置いた。
「たしかに」
男はろくに調べもせずに受け取った。
「数えなくても良いのか?」
「お客様を信頼しておりますので」
 男は金を机の引き出しにしまった。引出しの中には札束があふれている。鍵もかけていない。
「さてクラブに御案内いたします前に、御注意申し上げておきます」
「ああ」
「クラブで見聞きされたことは、外では他言無用に願います。なにしろ世の中から外れたことをやっておりますので」
 私は無言でうなずいた。
「では御案内いたします」
 男が重い木の扉を開けた。小さな悲鳴が聞こえてきた。気のせいだろうか。私は男の後に続いた。
 その先には「拷問室」があった。
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2006年01月26日

(02話)第1章・その2

 1999年の後半からネット関連の会社の株が異常な値上がりを見せた。いわゆるITバブルだ。
 その1年前に、私はベンチャー企業を立ち上げたばかりだった。どんぴしゃのタイミングだった。会社の株は半年で20倍も値を上げた。会社の株を持っていた社員達はみな億万長者となった。
 私も株の資産が5億円を超えた。また銀行から融資の話が連日申し込まれた。金の使い道に困る日々だった。
 ちょうどその頃、毎月の会費が500万円という秘密クラブの話を聞いたのだった。
 その情報を教えてくれたのは危ない仕事をしているという男だった。
「普通のクラブではありませんよ。一言でいえば」
 男は一息ついた。
「なんだい、もったいぶるなよ」
「すみません。一言で言えば、拷問です。拷問クラブです」
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2006年01月27日

(03話)第1章・その3

「拷問?」
 生活の中で聞くことの少ない言葉だ。
「そう、訳ありの女達を責めて口を割らせるんです」
「なんだ、つまりゲームみたいなものか」
「まあゲームです。ただ命がけのゲームでして、口を割った女はさよならなんですよ」
 男の話では、拷問に耐えることができたら500万円をもらえる。しかし、耐えれなかったときは1000万円の借金が増えるのだという。
「額が公平じゃないね」
「そこは訳有りな女なんで文句は言えないんですね」
 借金が増えすぎると保険をかけて殺されるのだという。
「あくまで噂ですよ、噂」
「ふーん、面白そうだ、紹介してくれよ」
 私は男の話など信用してはいなかった。暇つぶしだった。
 それから数週間、数人の男を介して、ようやく私は秘密クラブの建物に招かれたのだった。
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2006年01月28日

(04話)第1章・その4

 男が案内したのは1畳ほどの小さな部屋だった。奥の壁に窓がある。
「ちょうど2人目のショウをやっておりますところです。しばらくお楽しみください」
 窓から見ると下に舞台のような場所があり、裸の女が鞭打たれていた。照明は明るく下の様子はよく見えた。
 マスクをかぶった男が、長い鞭を振り回している。ひゅうひゅうと金属線を回しているような音がする。
 少し離れて女が両手を吊り上げられて立っていた。何も着ていない。丸裸だ。赤い筋のようなものが見える。ひょっとすると鞭痕だろうか。
 男が腕の角度を変えた。空中を回っていた鞭が、女の身体をめがけて振り下ろされた。
「ひいいいい」
 女が悲鳴を上げた。鞭が腹に当たり、背中を半周して巻きつく。女は身体を「く」の字に曲げた。
「よろしければ双眼鏡もございます」
 男が差し出す双眼鏡を私は目に当てた。女の顔を見る。泣き濡れた顔だった。口をあけて大きく息をしている。
「きれいな女だな」
 私は思わず言った。
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2006年02月12日

(05話)第1章・その5

「ひいいっ」
 女の悲鳴が聞こえて、視野から女の顔が消えた。私は双眼鏡を外した。また鞭が打たれたようだ。
「若いな」
「19歳です。父親は九州で服飾関係の会社をやっておりまして、本人は女優になるつもりで上京したそうです」
 女の悲鳴がした。私は舞台に目を向けた。女がくるりと回転していた。鞭が巻きついている。
「しかし父親の会社が傾きまして多額の負債をかかえることになりましたので、ああしておるのです」
「鞭で打たれると金になるのかい?」
「左様で。今夜100回の鞭打ちで500万円があの女のものとなります」
「100回……」
 私は舞台の上の女を見た。両手を吊り上げれているから立っているようなもので、立っているのもやっとだろう。
「あと何回くらいだ?」
「始まって半時間ほどですから、まだ半分も」
「そりゃ耐えられないぞ、あれでは」
「その時は仕方がございません」
 私は「耐えられなかったときは逆に借金が増える」という話を思い出した。
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2006年02月13日

(06話)第1章・その6

 鞭が空中を飛んだ。
「ぎゃあっ」
 女の体が「く」の字に曲がる。
「あの鞭はサーカスで猛獣を操るときに使うものでございます。生身のからだで受けるのは痛うございましょうな」
 しかし男の声には楽しんでいる風があった。
「上京しましたのは映画のオーディションに最終まで残ったからだそうで、ひょっとすると今頃は銀幕でお目にかかっていたかもしれません。ですがそれもかなわぬ夢で終わりそうです」
 私は双眼鏡をもう一度のぞいた。女の顔がアップになる。涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃだ。
 レンズを下に向けると、汗でてらてらしている体が見える。脇腹に赤い筋が何本も見える。動いているのは、呼吸とともに上下しているからだろう。
 酷いありさまだった。
 これは無理だ。私は思わず言った。
「たとえば、俺が250万出せば鞭は終わりにしてもらえるか?」
「は?」
 男は理解不可能な言葉を聞いたような顔をした。
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2006年05月06日

(07話)第1章・その7

「お客様、何と?」
「俺が250万払うから、あれを終わらせて欲しいんだ」
「なるほど、お客様が鞭打ち50回分をお買い上げになるということですか」
「そうとってもらっても良い」
 男は「失礼」と言うと携帯で連絡を取り始めた。その携帯の中に使われているチップのひとつは、私が開発したものだ。
「鞭打ちはあと61回残っております。そうすると305万のお買い上げとなりますが、構いませんか」
 私は頷いた。しかし舞台上では40回目の鞭が振り下ろされた。
「おや300万円となりましたな。では次回に現金でお持ちください」
 男が携帯に何か言うと、下の舞台の照明が暗くなった。「都合により中止いたいます」と女の声が聞こえる。
 私は椅子に座り込んだ。双眼鏡を持つ手に汗がにじんでいるのに気がついた。
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(08話)第1章・その8

 しばらくして舞台が明るくなると、そこには誰もいなかった。
「お客様に田中礼子からお礼を申し上げたいそうです」
 ドアが開くと女がよろよろと入ってきた。鞭で打たれていた女だった。まだ裸のままだ。近くで見ると鞭の痕がより痛々しく見えた。
「あ、ありがとう、はあ、はあ、ご、ございます」
 女は途切れ途切れに礼を言った。顔だけは拭いてもらったようだ。きれいな顔立ちをしていた。しかし幼い。
「あ、あ、りがとう、はあ、はあ」
 息が続かないようだった。裸の胸と腹が大きく波打っている。女は小柄だった。
「田中礼子はお礼に自分の体を好きにして欲しいとのことです。お客様、どうされますか?」
「えっ?」
 今にも倒れそうな女を抱く気にはなれなかった。治療が必要だ。
「いや、遠慮しておく。それよりも医者にみせた方が良い」
「むろん医者にはみせます」
 女は泣きそうな顔になっていた。私の方に進み出た。
「お願いします、はあ、私を、はあ、抱いてください、お、お願い」
「こいつ、なれなれしいぞ」
 女について入って来た男が、女の髪をつかんで引き離した。
「ひい」
 女はよろけて倒れかけた。
「おい乱暴をするな」
 私は男の腕を握った。
「お客様、申し訳ありません」
 別の男が割って入った。ここの支配人らしき男だ。私は手を放した。
「しかしながら、女の扱いは私どもの仕事、口出しは無用とお心得ください」
「わ、わかった」
 女は壁に手をついて体を支えながら立ち上がった。
「抱いて、お願い」
 女は向きを変えて、ふらふらとよろけながら部屋を出て行った。いっしょに入ってきた男達も出て行く。
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2007年06月24日

「拷問室の妖精」第1章・その9

 部屋は、私と最初に金を渡した男の2人だけに戻った。
「ひょっとして、酷い目にあうのか」
 女が繰り返し抱いて欲しいと言っていたのを思い出して、私はたずねた。
「どうでしょう。私は知りませんが。しかし」
 男は続けた。
「お客様は残酷なことをされますな」
「ん?」
「あの女は来週もまた拷問を受けます。そのときも、またお客様が助けてくれることを期待するかもしれません」
「ああ」
 考えてもいないことだった。
「そして助けてもらえなかった時に、女は何をおもうのでございましょうね」
「うむ」
「お客様、ここでは仏心は無用です。それが出来ないのなら、ここにはいらっしゃらないことです」
「そうかもな」
 次の舞台が始まった。やはり裸の女が引きずられるようにやって来た。大柄で色の白い女だった。女は顔を上に向けて首を回した。そこに助けてくれる何かを探すように。私は窓際でその目を見た。
 それが私と遥との出会いだった。
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2007年06月25日

「拷問室の妖精」第2章・その1

 下の舞台がざわめき始めた。「拷問」が始まるようだ。
「はるかあ」
 男のだみ声が聞こえた。小太りな男が女に近づくのが見えた。
「あの男は?」
「ごひいきの方でございますな」
「下でも見れるのか?」
「特別に料金をいただければ御覧になれます。拷問中はいろいろと液体が飛んでまいりますので、お勧めはいたしませんが」
 目を戻すと小太りな男が女にまとわりついているところだった。写真を撮っている男も見える。
「記念写真か」
 私は双眼鏡をのぞいた。やさしい顔をした女だった。小太りな男が隣に並んで胸をさわっている。女は泣きそうな顔をしていた。
 小太りな男が乳房を乱暴につかむと、女は顔をしかめた。嫌がるというよりも、痛いという顔だった。
 よく見ると女の体は、傷だらけだった。まだ、拷問の前だというのに。
「もう6週目でございますから。これまで受けてきた傷が残っておるのでしょう」
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2007年06月26日

「拷問室の妖精」第2章・その2

「6週目?」
「左様で。最初の拷問に耐えぬけば、翌週には次の拷問が待っております。更に耐え抜けば、また次の拷問が待っております」
「ずっと拷問と言うことか?」
「拷問に耐えれば、それなりの報酬を得ることができます。1週ごとに報酬は大きくなりますので」
 その報酬が借金を超えるまで女は拷問に耐えなければならないということか。
「あの女の借金は?」
 男はこたえた。
「無限大でございます」
「無限大?」
「あの女の場合は特殊な事情でして、ある方の悲しみが癒されるまで続くことになっております」
「悲しみ?癒し?」
 よくわからない。
「詳しい事情はお話できませんので、おや、ショウが始まったようです」
 下の舞台では、女が片足を吊り上げられていた。小太りな男はもういない。代わりに鞭を持った男が立っていた。
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2007年06月27日

「拷問室の妖精」第2章・その3

 ゆっくりと女の片足が吊り上げられていく。女は床に転がったまま、足が上がっていくのにまかせていた。慣れているようだ。
「倍率が偏っているようですな」
 男の言葉に私は振り向いた。
「倍率?」
「はい、12対1となっております。ああ、説明申し上げておりませんでしたな。これは賭けでございます」
 脇の机の上に小さな端末がある。その緑色の画面に「12」と「1」の数字が表示されていた。
「あの女が拷問によって口を割るか割らないか、観衆の皆様が予想しておいでなのです」
「皆、口を割るだろうと思っている?」
「左様で。6週目になりますと、たいそうきびしい責めとなりますので、耐えられるものではございません」
 男の口調は楽しそうだった。
「ここまで来たのも不思議なほどで」
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2007年06月28日

「拷問室の妖精」第2章・その4

 私は思わず言った。
「じゃあ俺は口を割らないほうに賭けよう」
「それはお勧めいたしかねますが」
「いや、もう決めた」
「さようで。一口100万円でございますが何口ほど?」
 私は少し時間を置いて言った。
「2口、いや5口だ」
 今夜だけでいくら使っているのだろう。
 小さな端末に表示されている数字が「12:1」から「4:1」に変わった。
「ようし」
「後悔されなければよろしいですが」
 画面に「CLOSED」と表示された。同時に「申し込みは終了です。倍率は4対1です」と女性の声が聞こえてきた。同じ言葉が繰りかえされる。
「始まりましたな」
 下の舞台では、片足を吊り上げられた女が宙に揺れていた。
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2007年06月29日

「拷問室の妖精」第2章・その5

 女は片足だけの逆さ吊り状態になっていた。吊られていない方の足が不安定に動いている。宙を蹴るような動作を繰り返していた。
 両足をそろえていたいのだろうが、力が続かず縛られていない足が下に降りてしまうようだ。それをまた上に戻して両足をそろえようとする。
 その繰り返しだ。
 側に立っていたマスクの男が手を伸ばして、空中でうろうろしている女の足首をつかんだ。そのまま下に引きずりおろした。
「ひいいっ」
 女の声が聞こえた。体が大きく波打つ。
 足が折れたのではないかと、私は思わず身を乗り出した。そのくらい、マスク男のやり方は乱暴だった。
 男は女の足首にロープを巻き始めた。1回2回と結び目を作っていく。念入りだ。
 ロープを結び終わると男は手を放した。女の足が上に伸びていく。
 だが、男がロープの端を掴んでいた。男が手を動かすと、女の足首がロープに引かれて動いた。
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2007年07月01日

「拷問室の妖精」第2章・その6

 男がロープを緩めると女の足がそろい、男がロープを引くと女の足が開く。
 男は何度かそれを繰り返していた。楽しんでいる風だった。時々、足を開かせて、女の股間に指を入れこねくり回したりした。
「う、うう」
 女はその度に低くうめいていた。
 やがて男はロープを思い切り引いた。
「ひいい」
 女の足が大きく開いた。男は床から黒いボールを拾い上げた。重そうに見える。私は双眼鏡を目に当てた。金属の光沢が表面に見えた。
「鉄球か?」
 鉄球の上部にはカギの手が付いていた。そのカギの手を、男は女の足首に巻いたロープにくわえさせた。女の足が自然と降りていく。
 床には黒い球体はいくつも転がっていた。男はひとつずつ拾うと、女の足首にぶら下げていった。
 男が4つめの鉄球をつけたとき、女の足は完全に降り切った。
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2007年07月03日

「拷問室の妖精」第2章・その7

 女は片足を吊り上げられ、もう一方の足には鉄球を付けられ、両足を大きく開いた状態で揺れていた。
 まさに股裂きだ。
 4つの鉄球は足首にぶら下がったまま、床から30センチのところで回っている。
「うっ、う」
 女が苦しそうに上半身を曲げ伸ばしすると、鉄球はかすかに揺れる。しかし大きくは動かない。かなりの重量なのだろう。
「ひっ、ひい」
 女が騒ぎ始めた。マスクの男が鞭を持っていた。前の女のときは3メートルもあるような長い鞭だったが、今度のは1メートルの短い鞭だ。
 男が鞭を軽く振ると、鞭の先がきらきらと輝いた。金属片を埋め込んであるのだろうか。
 男は鞭を振り下ろした。大きく開いた女の股間にそれは直撃した。まるで金属線が共鳴するような音がした。嫌な音だった。
「ぎいいっ」
 女は悲鳴をあげた。上半身がのけぞった。男がもう一度鞭で打つ。金属音が響く。
「ぎやっう」
 女の体が上下した。鉄球が揺れを大きくした。
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2007年07月04日

「拷問室の妖精」第2章・その8

 女は両手を股間に伸ばした。鞭の痛みにたまらず無意識に手で隠したのだろう。男は鞭の角度を変えた。鞭は女の顔を打った。
「がっ」
 女の上半身がはげしく震えた。女が手で顔をおおう。マスクの男が女に顔を近づけた。何か言っているようだ。
 やがて男は股間を鞭で打ち始めた。いやな金属音と女の悲鳴が続いた。
 股間はみるみる赤く腫れあがった。一筋二筋と赤いものが足を伝って流れ落ちた。血だ。鞭が当たるたびにそこを中心として赤い霧が湧き上がった。あれが血煙というものなのだろうか。
 再びマスクの男が顔を近づけた。女は首を横に振る。男は鞭を振り上げた。
「ぎゃああああ」
「ぎいい」
 女の悲鳴が響いた。
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2007年07月06日

「拷問室の妖精」第2章・その9

 下の舞台では凄惨な責めが続いていた。
「簡単には口をわりませんな」
 隣で愉快そうに男が言う。
「口を割るって、何を隠しているんだ、あの女は?重大な秘密なのか」
「まさか、ゲームでございます。今日のデザートに出るくだものでしたか。パパイヤ、マンゴ、あるいはリンゴかもしれません」
「くだもの?」
「あの女には今夜のデザートに使うくだものが何かを教えてあります。それがお客様に出されるまで口を割らなければ良し、口を割れば負けでございます」
「そんな」
 そんな馬鹿げたことで、あの「拷問」を受けているのか。私は下の舞台で続いている「拷問」に目を向けた。女は鞭で打たれるたびに上半身を波打ちさせて痛みにもだえていた。鞭で打たれた股間は血まみれだった。
「ひいいい」
 女の動きが止まった。静かになった。
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2007年07月07日

「拷問室の妖精」第2章・その10

 女は気絶したようだった。片足をつられたまま身動きしない。両腕を下にだらりと下げて、ゆっくりと揺れている。
 双眼鏡でのぞくと股間の肌は破れ、赤い肉と、ところどころに白いものが見えていた。普通の状態ではない。
 マスク男が側に立ち、いかにも満足という感じで女の足をなでている。
 やがて男は何か合図をした。女がゆっくりと上がり始めた。片足を吊っている縄を巻き上げているようだ。見上げると縄は窓からは見えない部分へ吸い込まれていた。
(拷問はまだ続くのか)
 女は1メートルほど上がったところで止まった。
 男が鞭で股間を連打した。血しぶきが飛んだ。女は突然目を覚まして悲鳴をあげた。
「っひいいっいいい」
「ぎいい」
 上半身が大きく動く。苦痛に歪んだ顔だ。さっきより大きくはっきりと見える。
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2007年07月24日

「拷問室の妖精」第2章・その11

 マスクの男が手招きのような身振りをした。
 舞台の外から3人の男たちが大きな台を押して現れた。ゆっくりと運んでいく。吊られた女の真下まで来たところで、マスク男が手振りで止めた。
 台の上面は黒く、油がひいてあるようにてらてらして見える。女が身もだえを始めた。
「なんだ?」
 空気が歪んで見えた。
「あつ、あついっ」
 女が叫んだ。
「ひいい、あついっ」
 マスク男がバケツの水を鉄板の上にぶちまけた。とたんに白い煙が噴き出した。水蒸気だ。窓の外は水蒸気におおわれて何も見えなくなった。
「あれは、あの鉄板は……」
「焼けております」
 私は恐ろしい考えに震えた。
「まさかあの上に落とすのか?」
「左様で。大変危険ですので、足だけでございますが」
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