2007年08月31日

「拷問室の妖精」第3章・その10

 歯科医院のようだ。
 遥は患者が座る椅子に裸で縛り付けられていた。口に金属製の器具がはまっている。口を閉じさせないための器具のようだ。口が大きく開いて、よだれが流れている。よだれは乳房の上にたれて、腹を伝って流れ落ちていた。
 画面に白衣を来た男が入ってきた。
「あいかわさん、今日は右上の親知らずを治療しますよ」
「椅子を倒します」
 看護婦もいる。医師も看護婦も大きなマスクで顔を隠すようにしている。
「これも拷問ですか?」
「ああ、そやで。あのお医者さんは本当の歯医者なんや。麻酔なしで歯を削るのが楽しみなんや、けったいなことやろ」
「麻酔なし?」
『キィーーーン』
 歯科医でよく耳にする音が聞こえてきた。画面に目を戻すと、白衣の男が歯を削るドリルを持っていた。確かに麻酔を打つシーンは無かった。
「はい、あーーん」
 遥の口は器具を噛まされて大きく開いている。閉じることができないのだ。白衣の男はドリルを遥の口の中に入れた。
『キィーーン』
『キィーーン』
 ドリルの音が高くなったり低くなったりを繰り返す。
「ああやって虫歯でもなんでもない歯に穴を開けていくんや」
「ええ」
「たまらんわ」
 小太りな男は自分の頬を押さえた。虫歯の治療を思い出したのかもしれない。
 画面の中で遥が急に暴れだした。首を左右に振る。
「動かないで」
「あええ。あええ」
 遥は何か言っているが言葉が聞き取れない。
「とうとう神経まで穴があいてもうた」
「神経まで?」
「これからが痛いんや。神経を削っていくからな。こんなん、大の大人でも耐えられへんで」
 画面では、遥が首を振っていた。医師がドリルを入れるのに抵抗している。
「おさえて」
 医師がそう言うと、看護婦がもう一人画面に現れて遥の頭をおさえつけた。遥の頭の周りに医師と看護婦が3人も並んだ。
『キィーーン』
 再びドリルの音が始まった。
「いあぁああ」
 遥のうめき声が聞こえた。遥の体が緊張しているのが画面でも見える。椅子から尻が浮き上がっている。
『キィーーン』
「あがぁいい」
『キィーーン』
「いいぃああっ」
 ドリルの音がやむと遥の体は椅子に落ちた。
「あぁ、あぁ」
 腹が大きく上下している。
「どうですか、調子悪いところはないですか」
 医師がのどかな調子で尋ねる。
「いああ、いあぁぁ」
「はい、あーんして」
『キィーーン』
「あがぁいっ」
 遥の体が椅子から浮く。
posted by AWAWA at 06:11| Comment(1) | TrackBack(0) | 拷問室の妖精
この記事へのコメント
Posted by 111 at 2009年01月03日 16:18
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