2007年08月30日

「拷問室の妖精」第3章・その9

 3人の若者は遥を立たせた。
 若者の一人がカメラを持っているようだ。声が聞こえてきた。
「おら、こっちを向けよ」
「カメラの方だあ」
 遥は腕を頭の後ろで組んだ姿勢のままカメラの方を向く。
「もっと背を伸ばせよ」
「白ブタ、きいてんのか」
 遥はおびえた顔をしている。画面ではわからないが、震えているのに違いない。
「背、伸ばせよ」
 遥は姿勢を正した。きれいな裸だった。両隣に立っている男が乳房や股間に手を伸ばして来た。遥が身をよじると、すかさず男の声が飛んだ。
「動くなよお」
「いやらしい体をしてるなあ、このブタ」
「いまからお前を99発殴るからな。ちゃんと数えろ」
「えっ」
 遥は腰を引いた。
「おら、逃げるなよ」
「手加減しなくてもいいって、言われてんだよな」
「へへへ」
 画面の右の若者の拳が遥の顔を横殴りにした。平手打ちではなく、拳固だった。本当に手加減をするつもりはないようだ。
「ぐぇ」
「おら、もう一発」
 どすっ。
「ぐぇええ」
「俺も、おらっ」
 遥は腹を殴られてひざを付いた。
「ぐぇえええ」
「なに、すわってんだあ」
 若者が髪を掴んだ。
「ごぽっ、ごぽっ」
 遥は咳き込みながら立ち上がった。
「背を伸ばせよ。腹に一発やるから」
「いい」
「思いっきり殴るからよお」
 遥は腰を少し引いて立っている。腹がへこんだまま動いていた。力を込めて殴られるのに備えているだろう。
「カメラを見ろよ」
 声がして遥がカメラの方を見た。そのタイミングで若者の拳が腹にめり込んだ。遥は身を丸めてひざをついた。
「きまったああ」
 若者がうれしそうに飛び跳ねる。
「次は俺ね、次は俺ね」
 別の若者が悔しそうに言う。
「俺にも代わってくれよ。壊すなよ」
 撮影している若者の声が聞こえる。遥がうずくまっている姿を上から映している。
 急に画面が変わった。
「けったくそ悪いわ」
 小太りな男が不機嫌そうな声で言った。
「どうも好きになれん」
 小太りな男が感じた不快感と同じものを、私も内心感じていたようだ。私はほっとした気持ちになっていた。
 新しい場面は病院のようだった。
posted by AWAWA at 08:15| Comment(1) | TrackBack(0) | 拷問室の妖精
この記事へのコメント
忽然后
Posted by 恢复 at 2008年01月18日 12:37
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