2007年08月06日

「拷問室の妖精」第2章・その15

 女は足を持ち上げようとした。片腕を足の裏に通して、体の方にひきつけた。体が揺れた。そのまま鉄板の上に落ちるのではないかと、私はひやりとした。落ちはしなかった。
「うぐぅぅぅ」
 女の体は鉄板に近い。体を投げ出せば、頭と背中の上半分は鉄板に当たってしまいそうだ。
「あつ、あつ、あっい」
 女はうわごとのように繰り返し叫んでいる。鉄板から、おそらく100度以上の熱気を受けているに違いない。
「もう、やめさせろ」
 私はたまらず言った。
「あれでは死ぬぞ」
「かもしれませんな」
「俺が金を払う、だから」
「それは無理です。お客様は賭けに参加されました。賭けの参加者にその資格はございません」
「な」
 私はドアに向かった。下の舞台へ行こうとした。
「お客様」
「どけ」
 ドアに手をかけたときに、ドアが勝手に開いた。私は思わず立ち止まった。ドアの外にボーイの格好をした若い男が立っていた。
「デザートでございます」
ボーイが持っている盆の上にはイチゴが並んだ皿があった。
「終わりましたな」
 私は振り返った。
「お客様の勝ちでございます」
「勝ち?」
「女はデザートのくだものを白状しませんでしたので、賭けはお客様の勝ちでございます。すばらしい、2000万を手にされました」
「は……」
 私は力がぬけた。窓へ近づき外を見ると、女が高く吊り上げれていた。鉄板の台が3人の男によって運ばれて行く。
 拷問は終わったのだ。
posted by AWAWA at 08:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 拷問室の妖精
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