2006年02月13日

(06話)第1章・その6

 鞭が空中を飛んだ。
「ぎゃあっ」
 女の体が「く」の字に曲がる。
「あの鞭はサーカスで猛獣を操るときに使うものでございます。生身のからだで受けるのは痛うございましょうな」
 しかし男の声には楽しんでいる風があった。
「上京しましたのは映画のオーディションに最終まで残ったからだそうで、ひょっとすると今頃は銀幕でお目にかかっていたかもしれません。ですがそれもかなわぬ夢で終わりそうです」
 私は双眼鏡をもう一度のぞいた。女の顔がアップになる。涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃだ。
 レンズを下に向けると、汗でてらてらしている体が見える。脇腹に赤い筋が何本も見える。動いているのは、呼吸とともに上下しているからだろう。
 酷いありさまだった。
 これは無理だ。私は思わず言った。
「たとえば、俺が250万出せば鞭は終わりにしてもらえるか?」
「は?」
 男は理解不可能な言葉を聞いたような顔をした。
posted by AWAWA at 23:35| Comment(3) | TrackBack(0) | 拷問室の妖精
この記事へのコメント
『拷問室の妖精』実にすばらしい物語ですよねー。未完にしとくのはもったいない作品です。
Posted by まさ at 2006年02月18日 14:13
おお、原作者様からのコメントが。
私も最後まで書き上げたいです。
最近は忙しくなって更新ができなくなっています。
Posted by AWAWA at 2006年02月19日 23:46
素晴らしいショーですね。画像にして頂くことはできませんか?
Posted by 雷太 at 2006年03月12日 05:56
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