2002年06月09日

(03話)下書・開脚特訓

9時を過ぎた頃に建物の灯りが消え始めた。スポーツセンターは午後9時に閉まる。やがて出てくるはずだった。

双子(ふたこ)は駐車場の出口に目を凝らした。何台か車が走り出していくが、どれもちがう。ワゴンが現れたが、それも違った。時計を見ると13分をさしていた。

また、ワゴン車が現れた。横に「粟屋製薬(株)」と書かれているのが見えた。
(来た!)
双子はシートに身を沈めた。ワゴン車は駐車場を出るとこちらに曲がり、双子が乗る車の横をゆっくりと通り抜けていった。

運転しているのは男のようだ、監督だろう。助手席はきっとコーチが乗っているはずだ。後部の座席は窓ガラスが暗く中は見えなかった。

ワゴン車が通り過ぎてから双子はゆっくりと車を出した。行先はわかっているので、あわてることは無い。少し先の信号で追いつくだろう。

元陸上部選手の言った通りだった。元陸上部の女性は「試合に負けると次の日にスポーツセンターで特訓」なのだと話した。
(あの子の話は信用できそうだ)
双子はようやく糸口を掴めたと感じた。

昨日は実業団の大会があり、粟屋製薬女子陸上部も参加したが、散々な成績だった。走り高跳びを除いて入賞者を出せなかった。

双子は大会会場まで出向いて、粟屋製薬の成績を確認した。客席から双眼鏡で粟屋製薬の女子陸上部の様子を観察もした。監督が選手を平手打ちしている場面も、観客席から双眼鏡で見た。レンズの中で選手が張り飛ばされていた。音がしないので現実味の無い不思議な光景だった。
(ひどい)
選手達が続けざまに張り飛ばされていく様子を見ながら、双子は心臓の鼓動が高まるのを感じていた。

*

その時、私は何かで腕を打たれた。 コーチが、どうして姿勢を崩しているのよと言って目を吊り上げていたので、私はあわてて気をつけの姿勢をした。選手は直立不動でいなければならないというのが部のルールで、最初は先輩達と同じように気を付けの姿勢でいたのだけど、恥ずかしくていつのまにか胸と股を手で隠していたのだ。



私はすみませんでしたと謝ったが、でもコーチは許してくれずに、私は壁を向いて尻を突き出す格好をとらされて、お尻を3発鞭で打たれた。眼から火花が出るような痛みで、いつもの何倍も痛くて、コーチにありがとうございましたとお礼を言ったあとに床にしゃがみこんでしまった。




そうしているうちに次の特訓が始まって、今度はコーチが先輩達を並ばせていた。コーチが、あんた何しているの、早く来なさいよと言うのに、動けないんですと応えるとコーチは笑い出して、じゃあそこにいなさいと、許してくれた。お尻を打たれたあまりの痛さで腰が抜けてしまったのかと思いながら、立ち上がろうとするけれど立てない。 みんなの方を見ると、コーチが鞭を振りながら怒りの声を飛ばしていた。副将が狙われているみたいで、コーチは副将の前で立ち止まっていることが多かった。副将は、すみませんでした、すみませんでしたと繰り返し繰り返し謝っていた。コーチは、謝っまったてね駄目なのよ、全然駄目だめなのよとか言いながら、鞭を振り回して副将の胸あたりを打ったので、副将は悲鳴を上げた。それでも姿勢は崩さずに両手を後ろに組んだまま立っていた。私は感心した。あの鞭で打たれて耐えられるなんてすごい。




後で副将にすごいですねと言ったら、もし動いたらもっと打たれるから歯を食いしばって我慢していたのと教えてもらった。鞭で打たれて姿勢を崩すと、それをネタにまた鞭で打つのだそうで、あのコーチならやりそうな感じがする。でもすごく痛かったでしょうと言ったら、そうそう、涙が出たよ、特訓のときはいつもと違う特別な鞭を持ってるからきついのよ、知ってる、あの鞭、馬を打つための鞭なんだってと教えてくれた。そんなので人間を打つなんてひどいよね。副将は2回も鞭で打たれて、遠くから見ても片側の乳房が赤くはれていた。

まず、主将が箱の上に乗った。主将がすごいと思うのは、どんな嫌なことでも必ず自分からやることだった。



箱の高さは30センチくらいで、2本のレールの上に2つ並んで乗っていた。天井から吊り輪がひとつぶら下がっていて、主将は両手でそれをつかんだ。副将とKさんが左右に別れて箱を動かし始めて、主将は両足をだんだんと開いていった。うわっと思って私は監督の姿を探した。いくらなんでもこんな姿を男の人に見せるのはまずいだろうと思ったのだけど、監督は竹刀を持ってそばに立っていた。

2つの箱の間はどんどん広がって、主将の足もどんどん広がって、160度くらいまで広がった感じで、足がぶるぶると震えていた。それでも副将たちは箱を動かすのを止めないので、どこまで広げるのだろうと心配になった。コーチが、もっと早くと叫んで、Kさんが困ったような表情を浮かべたが特に急いだりはしなかった。それを見てコーチは箱に近づくと早くしなさいって言ってるでしょうと怒りながら箱を足で押したから箱は急に10センチも動いて、主将はあっと叫んで身体が揺れた。

主将が足を落としたらコーチはきっと鞭で打つんだと思ったから私はどきっとしたのだけど、主将は吊り輪をつかむ腕に力をこめて体の揺れを止めたので、ほっとした。コーチが、ほら、そっちも動かしなさいよときんきんした声で命じて、副将がゆっくりゆっくりと箱を動かし始めたけど、気に入らないみたいで、なに、ぐずぐずしてるのと言ってコーチは副将の背中を鞭で打った。副将が悲鳴を上げて身をよじると、コーチは、なに、逃げてるのよと因縁をつけたから、すみませんと副将は箱から手を離し直立して謝った。コーチは、あんた、やる気あるのとか、だらだらして、いらいらするわとか言いながら、副将の後ろに回ると鞭を振り上げて背中を2回も打った。副将は打たれるたびに、ありがとうございます、ありがとうございますとお礼の言葉を繰り返した。副将の背中には赤い線が見えた。



コーチは、さっさと言われたようにしなさいよと副将に言って、副将は箱を動かし始めた。コーチが良しと言うまで箱を動かしたので、2つの箱の間はものすごく広がって、主将は両足をほとんど水平に広げてしまった。かかとが箱にぎりぎり乗っている程で、吊り輪にぶら下がって体を支えている感じで、主将は苦しそうに時々低くうめいていた。

コーチが、この前は何秒だったと主将に聞くと、主将は15秒ですと答えて、コーチが、なら今日は20秒ね、どんどん長くなるよとか言うと、主将は、試合に負けた私の責任ですと応えた。コーチはタイムウオッチを取り出して、誰か、時間を計りなさいと言って、そばにいたKさんに投げた。

この特訓では、足を広げたまま吊り輪から手を離して、足の力だけで決められた時間だけ静止しないといけない。そんなの全然無理に決まっていると思っていると、コーチが手を打って、始めと言って、見ていると主将は体を少し持ち上げて、そして吊り輪から手をゆっくりと離した。でもすぐバランスがくずれて落ちるかと思ったら、主将は吊り輪をつかんでいた。

そしたらコーチが怒って、さっさと手を離しなさいよと主将の手を鞭で叩いたから、主将は「はいっ」と言って吊り輪から両手を離した。うわっと思って見ていたら、主将は落ちないで本当に足だけで体を支えていて、苦しそうな顔をして足の筋肉が震えているのが見えて、それでもすごい脚力だと感心してしまっていると、主将は腕を水平にしてバランスをとり始めた。監督が、R、いい筋肉だ、ほれぼれするぞと野次馬のような声をかけた。Kさんが、5秒、10秒と時間を計り始めたけど、15秒を超えたところで、主将の身体のバランスが少し崩れて、私は目をつぶってしまいそうになったが、主将は腕を上げて吊り輪をつかんでいた。ほっとしていると、主将の後ろからコーチが、落ちたら20叩きだよと言って主将の股間を鞭で軽く叩いたから、主将は、はい、わかっていますと返事をしながら息を切らしていた。コーチは、この前打たれたのはどうだったと言ったけど、誰も答えないので、怒った声で、あんなに聞いているんだよと副将に向かって怒鳴った。副将はあわてて気をつけの姿勢をして、すみませんと謝った。コーチは、この前はどうだったとか聞くと、副将が、痛かったですと答えて、コーチは、どのくらい腫れたと聞くと、副将は、1週間くらいでしたと小さな声で答えていた。



コーチが私を指差しているのを見て私はドキッとした。私は何か気に障るようなことをしたのだろうかとおろおろしていると、コーチはずんずんと近づいて来て、あんた、椅子になってと言われて、何のことか分からないでいると、コーチは、椅子になるのよ何度も言わせないでと目を吊り上げたので、私は怖くなってはいと返事をしたものの何をして良いのかわからずに身動き取れないでいると、横からKさんが、よつんばいになるのと教えてくれた。 私が何がなにやらと言う感じでよつんばいになると、コーチが背中に腰掛けて、もうちょっと低くしてと言うので、私は足を少し広げた。



数メートル先では主将が開脚していて、身体が光って見えていた、多分汗だったと思う、苦しそうで足を180度近く開いているだけでも大変なはずだ。コーチが、今回は新人だから許してあげる。次からはあんたも同じ特訓だからねと、私に話しているのだとわかって、返事をしないとさっきの副将みたいに鞭で打たれてしまうから、私は大きな声で返事をした。コーチが、ほら、さっさとやりなさいよと主将に言ったけど、主将は身体のバランスをとりながらタイミングを計っているようで、なかなか手を離さなかった。

主将と時間を計っているKさん以外の部員達は、床に足を広げて練習を始めた。みんな驚くほど足が開く。床に足がぺたりと一直線にくっつく。よっぽど普段から練習しているのに違いない。でもこんな練習が陸上の役に立つのだろうか。私が顔を上げると、Kさんのお尻が真正面に見えて、肛門がよく見えた。見たくはないのだけど、なんだか見てしまう。 困ったなあと思っていると、主将が2回目の静止を始めて、みんなの目がそちらに向いた。でも10秒くらいで失敗してしまって、みんな落胆した様子で、また練習を始めた。



コーチが、情けないよね、試合に負けたらこういう目に会うんだからね、よく覚えておくんだよと言ったので、私は鞭が怖かったから、はいと答えたけど、先輩達が情けないとは思わなかった。

主将は3回目に20秒の静止をクリアして、次は副将がトライした。副将は、最初から自信がない感じで、これは出来ないかもと思っていると、2回やって2回とも失敗してしまった。主将はKさんからタイムウオッチを受け取って時間係をしていて、副将の耳元に顔を近づけて何かしゃべっているのが見えたので、きっと元気付けているのだろうなと思った。副将は主将の言うことにうなづいていたけど、足を広げているだけで精一杯という感じで、顔は泣き顔だし全然成功しそうには見えなかった。

コーチが私の背中から降りて、副将のところに近づいて、なにぶざまなことやってるの、ほらもっと足を広げなさいよ、馬鹿じゃないの、と副将の右足を踏みつけた。ものすごい角度に副将の足が開いて、200度くらい、副将が悲鳴をあげて、うわ、足が裂けると、見てられないと思ってたら、おい、待てと監督が言ったから私はほっとした。こんなしごきはやめて当たり前だよと思っていると、監督は靴は脱げ、靴はと言っただけで、特訓を止めたりはしなかった。コーチは靴を脱ぐとまた、副将の腿に足をかけて踏みつけた。副将は両手で吊り輪をつかんで、必死に踏まれるのに耐えていた。 こうやって広げるんだよ、わかったとコーチは副将にどなって、Iよ、もっと馬鹿になれ、お前は頭が良すぎる、馬鹿になれと監督が言う。副将は、はい、はい、と答えていた。



コーチが私の背中に座ると、副将は3回目にトライして今までの中で一番体を反らしてから手を離し、今までとは違う安定感を見せて15秒まで頑張ったけど、そこからバランスを崩して吊り輪をつかむのに失敗して、床に転げ落ちてしまった。コーチが私の背中の上で笑って、後で20叩きだよ、馬鹿とか言った。副将は、しばらく床にうずくまっていたが主将に助け起されて、泣きながらコーチに謝って隅のほうへ歩いていった。

その後のKさんたちは見事に成功した。よほど足を鍛えているみたいで、2人とも胸を張って腕を水平にしてまるで飛行機のように静止していて、見とれてしまうほどだった。

コーチは、Kさんたちの開脚訓練の様子はまじめに見ていないようで、時々、簡単な掛け声しかかけずに、退屈そうに背の上で揺れていた。小声で、失敗して泣いたってだめだよ、大股開いて情けねえのとかつぶやいて笑っているようだった。やっと、4人の開脚訓練が終わるとコーチは立ち上がって、4人のそばへ近づいていくと、うずくまっていた副将たちが腿をさすりながら立ち上がった。 コーチは副将に近寄ると、いきなり平手打ちをくらわせて、20叩きだよ、今日の最後にねとか言って、副将はビンタをされながら気をつけの姿勢をとって返事をしていた。

posted by AWAWA at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 苦痛訓練所
この記事へのコメント
いい!!サイコー
もっと柔軟拷問みたい
Posted by 軟体好き at 2006年08月22日 03:02
この話の続きとか、普段の練習内容がどんなのか
知りたいです。
Posted by スン at 2009年09月19日 01:51
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