2001年02月04日

変態合宿(08話)下書・個別治療



覗き穴からを開くと香織が「治療」を受けていた。

香織は仰向けに寝て、両手をあまたの先に延ばしていた。両手は壁際に並んでいる棒に軽く添えてある。治療が痛いときは、棒を思い切り握り締めて耐えるように言われているはずだ。

白衣の男が香織の足の上にまたがっていた。マスクと目が目をしているので顔はわからないが、体格からすると森田だろう。森田の両手は香織の乳房をゆっくりと揉んでいた。

香織の白い体の中で、乳房のまわりだけが赤くなっている。森田のマッサージのせいだろう。森田が親指と人差し指で作った輪で乳房の根元をしぼった。遊んで楽しんでいるようにしか見えない。香織の声が聞こえた。
「先生、私の胸、大きくなるでしょうか」
「それはあなたの努力次第です。私もせいいっぱい努力しますよ」
「はい、ありがとうございます」
森田の両手が香織の乳房を握るように掴んだ。ゆっくりと潰していく。
「くっ」
香織のうめき声が聞こえた。香織の右手が棒を掴んだ。森田が乳房を餅のように潰している。八重子は少し戸惑った。
(えっ?何、そんなに痛いの?)
香織の痛がりは普通ではなかった。森田の指先に鉄の爪でもはめているのだろうか。だがそんな物は見えなかった。香織は人一倍敏感なのだろうか。
「うっ」
「いたっ」
「ひ」
香織のうめき声が続いた。森田は休まずに手を動かしている。今までの揉む動きから、乳房を潰すような動きに変わっている。とはいえ、まだ少し乱暴な愛撫の域だ。香織の痛がりようは普通ではなかった。

院長が覗き穴を閉じた。
「どうですかな、『赤』さんはスパイでしょうかな」
「まだ、わかりません」
八重子は答えた。
「おそらくスパイではないと思いますが、確証はありません」
「うむ、私も『赤』さんは違うように思いますな。かわいい人じゃ。では、今度は『橙』さんを見てみましょう」

院長は別の覗き穴を開けようとした。
「院長、少しお聞きしたいのですが」
八重子は香織のことが気になった。
「あの子、随分痛がっていたようですが具合が悪いのでしょうか?」
「『赤』さんは元気ですよ。あなたも毎日会っておられるでしょう」
「ええ」
今朝も香織は元気だった。
「ああ、『赤』さんは乳房がかなり腫れています。ここしばらく乳房のマッサージを受けていますからな。触ると痛いじゃろうな」
そういうことか。八重子は納得した。院長は次の覗き穴を開けた。

『橙』の佐賀沙織は、腹ばいになっていた。香織と同じように両腕を伸ばして壁際の棒を握っている。香織と違って、沙織は両手で同じ棒を握っていた。沙織の背中は傷だらけだった。

白衣の男がいて、マスクと眼鏡をしている。林田だろう。林田が振るっている鞭のようなものが、沙織の背中に傷をつけていた。先端に何十本にも分かれた短い鞭で、八重子の知識の中には無い形をしていた。林田が腕を振り下ろすと、沙織の背中の皮膚が破れ、あちこちから血がにじみ出すのだった。
「うっ」
「ひっ」
「くっ」
沙織は鞭のようなものを振り下ろされるたびに、うめいていた。顔をあちらに向けているので表情は見えない。
「よろしい、今度は足を広げて」
「はいっ」
泣き声になっている。泣いているのかもしれない。沙織は真っ直ぐに揃えていた足をそろそろと開いていった。
「もうすこし開いて」
「まだまだ」
「もっと開いて」
林田は沙織が足の動きを止めるたびに、もっと広げるように催促する。ついに180度近くまで広がった。両腕はあまたの先に延ばしたままなので、ちょうど「T」の字を横から見ている形だ。
「このあたりもやられていますね」
林田が腿のあたりをつつきながら言う。
「では始めますよ」
「お願いします」
「痛ければ言ってください。でも、できるだけ我慢するように」
林田は再び鞭をのようなものを振るいだした。打たれるたびに沙織の尻が跳ね上がった。
「うっ」
「ううっ」
「痛いっ」
沙織の両足はたちまち赤く腫れて、血が滲み出した。
「痛いですか、やめますか」
「我慢できます、やめないで」
林田は打ち始める。気を使っているようにみえるが、言葉だけだ。林田の動きには、楽しんでいる様子さえ見えた。「どうですかな、「橙」さんは?」
「あ」
八重子は我に変えた。治療の様子に驚いて見入っていたのだ。「「橙」は可能性が高いです。こちらも確証はありませんが」「「橙」さんが?ほお、私は真摯に合宿に参加していると思っておったのですが」「「橙」はジャーナリスト志望です。ひょっとすると片桐とつながりがあるかもしれません」
「ほ、意外ですな」
院長は覗き穴を閉じた。

*

「今日からは身体の前のほうを治療しますよ」
「はい」
沙織は仰向けに転がった。昨日までは腹ばいで背中を見せていた。両腕を伸ばして、壁際にある棒へ手をやった。やっと指先がふれた。沙織は身体の位置を少しずらした。棒を両手で握る。足を肩幅くらいに広げて真っ直ぐ伸ばす。
「胸を反らして」
白衣の男が指示する。沙織は言われた通りにした。立体のきれいな三角形ができた。
「かなり痛いですよ。歯を食いしばっておいてください。下を噛むといけない」
「は、はい」
沙織の乳房が上下に揺れている。白衣の男は鞭のようなものを持った。先端が何十本にも分かれた、沙織の肌を傷だらけにしてきた器具だった。八重子は「枝鞭」と呼んでいた。
「よろしいですか」
「はい」
白衣の男は沙織の右の乳房に枝鞭を打ち下ろした。「ばしゃ」と音がした。
「うっ」
沙織は身体を折り曲げた。苦しそうにうめく。
「うう」
「身体を曲げてはいけません」
白衣の男が沙織の腿を手で叩いた。
「は、はい」
沙織は足を伸ばした。胸を反らしたところに、白衣の男が枝鞭を打ち込んだ。
「ぐぅっ」
沙織の腰が浮いた。それでも今度は身体を動かさなかった。必死に我慢しているのだろう。顔が苦痛にゆがんでいた。

白衣の男は打ちつづけた。一定の間隔で、沙織の右の乳房を執拗に打ち続ける。
「ぐっ」
「うっ」
打たれるたびに沙織の腰が浮かんだ。身体を小さく左右に動く。
「胸を反らして」
「逃げてはだめだ」
白衣の男が指示を飛ばす。

ほんの十数度の鞭打ちで、沙織の乳房は赤く腫れあがり、血がにじみ出ていた。

「はあ、はあ」
沙織は身体で息をしている。白衣の男が言う。
「では、足を開いてください」
「は、はい」
沙織は返事はしたが動き出せないでいた。乳房と腹の息遣いに合わせて上下している。赤い斑点と鞭の傷跡が妙になまめかしく動く。
「す、すみません。少し休ませてもらってもいいですか。はあ、はあ」
「なるべくなら、休まないほうが良いです」
「はあ、はあ」
「足を開いてください」
白衣の男はもう一度繰り返した。沙織はようやく動き始めた。両足を広げていく。

股間には生々しい傷跡が見えていた。「股間拡張治療」で傷つけられたあとだ。
「もっと開きませんか」
「まだですね」
「もう少し」
沙織は水平に近くなるまで足を開いた。逆「T」の字の形になる。

白衣の男は枝鞭を持ち上げた。
「歯を食いしばって」
沙織が身体を固くする。白衣の男は枝鞭を股間に振り下ろした。
「っぐ」
沙織の腰が飛ぶように浮いた。両足がのたうつように動く。それでも沙織はしばらくすると両足を水平に戻した。
「いいですよ。その調子」

「我慢できますか」
「は、はい」

*

「緑」の女性には苦痛になれるという名目で治療が行なわれていた。

「あなたはお父様に殴られることを恐れています」「はい」
「殴られるといたい、殴られたくない、そんな気持ちがあなたの気持ちを閉じ込めています」「はい」
「まずは殴られる痛みを実際に経験してしまうことです。そうすれば殴られて、それに耐え、殴られることに恐れを持たないようになるころです」
「はい」

「緑」の女性への殴打両方は平手打ちから始まった。「緑」の女性はいつものように両腕をのばし棒をつかんだ。
「身体を前に反らして、首を腕から出してください」
「緑」の女性はそのようにした。
「頬を打ちますよ」
「はい」
緑の女性は顔を差し出すようにした。白衣の男は手を上げると、頬を張った。ばしっと大きな音が鳴った。
「っう」
「大きな声で言ってください。『私は負けない』殴られることなど怖くないと自分に言い聞かせるのです」
白衣の男はもう一度平手打ちした。
「うっ、わ、私は負けません」
緑の女性は横を向いた顔を前に向けて言った。
「もっと大きな声で」
白衣の男は手を振った。
「びしっ」
「わ、私は負けません」
「びしっ」
「わたしは負けない」
「びしっ」
「わ、私は、負けない」
白衣の男は手を大きく振りかぶった。
「びしっ!」
「あ」
「言ってください」
「私は負けない」
平手打ちは続いた。

途中から、白衣の男は左の頬を打った手を返して右を頬を打ったりもした。緑の女性は顔を左右に張られながらも、「私は負けない」を繰り返した。
「身体が逃げていますよ。顔を出して、胸を張って」
「は、はい」
緑の女性が顔を差し出すと、白衣の男は更に激しい調子で頬を張り飛ばした。間髪をおかず、手を返して反対のほおを張った。緑の女性の首はそのたびに人形の首のように左右に振れた。
「わ、私は」
緑の女性が言いかけたところを、白衣の男は平手打ちした。
「ま、がっ……」
白衣の男は手を振った。手が痛くなったようだ。
「わ、私は負けない。私は、負けない」
緑の女性は顔を前に向けると言い始めた。

*
posted by AWAWA at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 変態治療院
この記事へのコメント
^^
Posted by 里世 at 2006年07月16日 15:04
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