1999年10月30日

(03話)下書・杭

しばらくは、2つの穴から乳房を迫り出す器具を使う日が続いた。

最初のうちは針板で串刺しにされるだけだったのが、数日後には串刺しにされた状態で針板を左右に動かされたりもした。乳房の中を針が動いて肉をずたずたにしていく。ゆかりは泣き叫んだ。

大型ペンチによる搾乳も、乳房への鞭打ちも連日行なわれた。乳房が何層にも切れて血が流れていても、何の容赦も無かった。ゆかりは苦痛にのたうち何度も意識が遠のいたが、その度に塩水をかけられあるいは塩を傷口になすりつけられて、目覚めさせられた。意識を戻すと、黒装束の女が間近にいる。この女が塩水をかけているのだ。ゆかりは、責め手の男達よりこの女の方が憎く思えることがあった。
(くっ)
ゆかりは大きく胸を張った。鞭を止めて待っていた男達が、再び鞭を振るい始める。鞭は男が振り下ろすと、風を切る音がするどく鳴って、まるで金属線を振り回している様に聞こえることがある。2ヶ月前の鞭はこんな音はしなかった。鞭の材質が変わっているようだ。打たれるたびに、どすっどすっと内臓に響く。皮膚が簡単に赤剥けて行く。2ヶ月前のゆかりなら、1発打たれただけで気を失っていただろう。

鞭打ちのあと横にされ、黒装束の女に薬を塗ってもらう。しみて痛む薬なのだ。ゆかりは、これも責めの一つなのかと考えていたが、薬は薬であるらしい。傷がすぐに良くなる。責められて出来た傷がほとんど1日で治ってしまう。毎日責められている身にはありがたい薬だった。でなければ身が持たない。

*

やがて、股間への責めが本格的になった。

その日、帰ってきた弥生は股間から血を流していた。
「今日は下だよ」
息も絶え絶えに言う。責めの順番は弥生、ゆかり、芳枝の順だ。責めに新しい要素が加わると、まず弥生が最初に体験する。他の2人は弥生から情報を教えてもらうことができた。
「そう」
ゆかりは声を返した。芳枝が治療を始める。弥生を手をどけると血に染まった股間が見えた。大きく開いている。ゆかりは弥生の手を握ってから外へ出た。

広間へ入ると、床に1メートル四方の穴が空いていた、覗くと穴の底から角材が突き出している。角材は赤黒く光っていた。弥生の血が付いているのに違いなかった。

穴の中に降りて角材を挿入するように言われた。太い角材だ。簡単に入るとは思えなかった。ゆかりは穴の底に足をおろし、角材を両足で挟むように立った。それから中腰になる。顔が床に近くなると血の臭いがした。股間を角材の先にゆっくりと近づけていく。
(太すぎる)
ゆかりは、この1年が終わったら元の生活に戻り、恋愛を楽しみ、いずれは結婚して子供を産みたいと思っている。
(大丈夫かな)
体が心配になる。

穴の外には黒装束の男が2人、鉄棒を持って立っていた。男達は鉄棒の先の二股をゆかりの腿にあてた。
「よろしいか」
恐ろしい力だった。腰が押さえられて動かない。このまま下へ押し下げるつもりのようだ。
「よろしいか」
ゆかりはうなずいた。
「はい」
腰が沈んだ。角材が股間に突き刺さる。奥に突き進んでくる。
「ひいいっ」
ゆかりは思わず鉄棒を掴んだ。しかし、すぐに離し手前の壁に手をつく。
「ぐううっう」
男達は、ゆかりの股間に角材が完全に呑み込まれるまで力を緩めなかった。



*

その後はいつもの責めが続いた。針板で乳房をずたずたに裂かれ、角材で体を圧され、大型ペンチで肉をねじられ、金属音のする鞭で打たれる。意識を失うと傷口を塩を擦り付けられて、その痛みで目を覚ます。繰り返しだ。

鞭打ちの後、床に横にされて休んでいる時、ゆかりは自分が無意識に体を反らしているのに気がついた。胸を迫り出して鞭打ちを待つ姿勢だ。身体が覚えてしまったようだ。

天井近くの一角にカメラが見えた。ゆかりは、自分が責められる様子をカメラの向こうで笑いながら眺めている好色な男達を想像した。
(何が楽しいの)
ゆかりには、この1年が終われば巨額の報酬が支払われることになっている。それだけの金を持っている人間達が、裏にいるのだ。ゆかりは「御目見得」でカーテン越しに見た老人のことを思い出した。あの人も見ているのだろうか。

5時間に渡る責めが終わったあと、ゆかりは控えの間に戻された。歩くことが出来なくなっていたので板に載せて運ばれた。次は芳枝の番だ。ゆかりは芳枝と手を握り合った。芳枝は泣きそうな顔をして連れて行かれた。

弥生が治療をしてくれる。治療といっても水にぬれた布で体を拭くくらいしか、ここでは出来ない。ゆかりは今日の責めが心配なことを言った。
「子供が産めなくなるよ」
冗談のつもりだった。弥生はぽつりと言った。
「私はもう産んだよ」
「え?」
弥生は18歳で妊娠し去年出産したという。
「私は二十になったらここに来るつもりだったから、それまでに産んでおきたかったんだよ。ここから帰った時には、産めないかもしれないから」
20年前、弥生の母親はここに連れて行かれ、1年後に戻って来た。その時には、子供を産むための器官が無くなっていたという。弥生は高校生のときに教えてもらった。

ゆかりは絶句した。

あと8か月。
posted by AWAWA at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生贄の森
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