1999年10月17日

(01話)下書・乳房穴

背の高い椅子のようにも見えた。ゆかりの胸より少し低いくらいだ。4本の足の上に鉄の板が水平に載っている。

不思議なのは鉄の板に2つの丸い穴があいていることだった。直径は10数センチくらいだろうか。

昨日までは見たことが無い器具だった。新しい責め道具に違いない。

黒装束の女が近づいてきた。囁くように言う。
「この下に潜って下から乳房を出してください」
「え?」
ゆかりが問い返すと、女はゆかりを4本足の器具の近くへ案内した。
「体を後ろに反らして」
ゆかりは言われた通りに体を反らし、その姿勢のまま器具の下の潜り込んだ。バランスを崩して倒れそうになると、女がすばやく支えてくれた。
(この穴は乳房を出す穴なのか)
体をぐっと反らして乳房を上に向かせる。女が下から押してくれて、器具の穴の淵に体が触れた。乳房は穴の上に出たようだ。

ゆかりは腕を器具の足に押し付けながら、ゆっくりと体を迫り上げていった。

何時の間にか黒装束の男達が居た。左右に立っている。何かが中空に浮かんでいるのが見えた。

針針針!

針が一面に並んでいる板だった。男達が支えている。
「ひいっ」
ゆかりは息をのんだ。

ここに来る前に入れ違いとなった弥生の姿が思い浮かんだ。乳房が血みどろだった。まるで剣山で刺されたような小さな穴があいていた。弥生は、今ゆかりの目の前にある一面の針で刺されたに違いない。

男達は動かない。ゆかりが始めて構わないと意志表示するまで責めは始まらないのだ。
「よろしいか」
「ま、待って」
責めの開始に同意を求めるのは、ここの仕来りなのだろう。ゆかりが同意しない限り責めは始まらないことになっている。だが何時までも待ってもらえるとは思えなかった。どうせ形式にすぎないはずだ。

ゆかりは覚悟を決めた。数時間に渡る責めが始まるのだ。しばらくして男の声が問うた。
「よろしいか」
「はい」
次の瞬間、針の板が振り下ろされた。



*

針板の次は、角材だった。角材を体に押し付けられる。みぞおちに角材を押しこまれて、ゆかりは胃液を吐き出した。

ふらふらになっていると、両手首を吊り上げられた。
(鞭かな、それともペンチ?)
大型のペンチだった。左右に立つ男達が大型ペンチでゆかりの肉を挟んだ。
「うう」
腕、乳房、腹、尻、足と体中の肉を挟まれる。男達は肉を挟んだままペンチを引いたり、回転させたりする。その度に激痛が走る。

最後に男達は大型ペンチをゆかりの胸の前に揃えた。合図だ。ゆかりは胸を反らした。乳房を無防備にさらす。それを見て、男達は左右からゆかりの乳房をペンチで挟んだ。
「ぐっうう」
乳房を潰される痛みにゆかりはうめいた。針板で開けられた穴から血が流れだした。

男達は乳房を挟んだままペンチを引き上げる。乳房が伸びていく。
「ひいいっ」
爪先立ちになる。体重が2つの乳房にかかってくる。引き千切れるような痛みだ。ゆかりは何度かつま先が床から浮くのを感じた。

次は鞭だった。男達が左右に立ち、鞭をゆかりの胸の前に揃えた。ゆかりは、ゆっくりと胸を反らした。それを合図に鞭打ちが始まった。男達はゆかりの体の前面を、乳房や腹を集中して鞭打った。打たれるたびに目から花火が出るような痛みが襲う。
「ひいい」
「あぐう」
「ぎゃあ」
ゆかりは悲鳴を上げ続けた。

気を失うと、黒装束の女が塩水をかけてくれる。その痛みで目がさめるのだ。意識を取り戻すと、男達が胸の前で鞭をそろえている。ゆかりは歯を食いしばって胸を反らした。乳房に鞭が炸裂し、ゆかりは絶叫した。

鞭打ちが終わるとゆかりは、床に横にさせられた。自分の体が真っ赤に張れあがっているのを見る。鞭で打たれた痕が線になって腫れ上がっているのだ。皮膚が破れて血がにじんでいる。

黒装束の女が薬を塗ってくれる。本当に薬なのかはわからない。消毒薬とよく似た匂いがする。塗られると、とてつもなくしみて痛いのだ。
「うっ」
「ぐっ」
あまりの痛さに、ゆかりは床を転がった。涙が流れる。この女の前で泣くのは嫌だったが、意地や精神力でこらえることができる痛みではなかった。

最後は、再び針板だった。ゆかりは体が揺れているようで、まともに歩けなかった。黒装束の女に助けられて、ようやく2つの穴の空いた器具の下に潜った。自分の力だけでは体を反らすことができない。下から女が支えてくれて、乳房を穴から迫り出すことができた。

針板が降ろされた。

乳房に数十本の針が突き刺さる。
「……」
ゆかりは悲鳴を上げたが、声がかれて悲鳴にならなかった。無言の悲鳴は12回続いた。

*

責めの内容は少しずつ増えていった。それとともに責められる時間も増えていく。最初の頃は1時間を超えることがなかったのが、今では4時間を超えることがある。

ゆかり達は、この先どうなるのかを何度も話し合った。最後は責めの時間は8時間まで行くのではないかと芳枝が言った。1人8時間で、3人で24時間。つまり一日中誰かが責められていることになる。それが目的なのらしい。何のためにそんなことをするのか、ゆかりには理解できない。

あと9ヶ月。
posted by AWAWA at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生贄の森
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